あんたのために書いてんじゃないんだからねっ

ショートストーリー&雑文。不定期で『タカッラマ・ラジュル』を連載中。

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目ざまし時計【ｓｓ】

「ヨシエさん、いつまで寝てるの。あなたったら料理も掃除もヘタなうえに、早起きすらできないなんて。本当にだらしないんだから。あなたのご両親は、一体どんな教育をなさってきたのかし……」

「うるさい、クソババア！」

ヨシエは目覚まし時計を叩きつけるように止めた。

「まったく。音声録音機能の付いた目覚まし時計なんて買うんじゃなかったわ」

業界初、低音量！
一番苦手な人の声を録音すると、最も効果的です

おかげで毎朝、姑の声で起こされる羽目になった。

夫のコウタは、隣でまだスヤスヤと寝息を立てている。
間もなくコウタの目ざまし時計も鳴り始めるだろう。
5秒前、4、3、2、1。

「佐藤くーん。頑張らないと今月もまたビリだよぉ」

2008/03/19　より