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あんたのために書いてんじゃないんだからねっ

ショートストーリー&雑文。不定期で『タカッラマ・ラジュル』を連載中。

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犯罪学者・鳥野福朗のバレンタイン考察

私は犯罪学者、鳥野福朗。

世に犯罪は数々あれど、男女の愛憎に端を発するものは枚挙にがない。
そもそも日本人はクリスマスだのバレンタインだの、俗なる行事に浮かれ過ぎるきらいがある。
このような風潮こそが男女の愛憎を増幅させ、悲劇へと走らせる要因の一つだろう。

と、ここで妻が茶を運んできた。
何やら甘ったるい匂いがする。

「うん?これは?」
「ホットチョコレートですわ。今日はバレンタインですから」

まったく嘆かわしい。
40年間連れ添った妻ですらこれだ。
だか、私は争いごとを好まない。
黙って妻からカップを受け取り、甘い飲み物に口を付ける。

「うっ!」

私の驚く顔を見て妻が笑った。

「ふふふ。貴方、気づかなかったでしょう?
私がずっと前からこの計画を立てていたことを」

この苦味。舌が痺れるような感覚。
まさか、これは……。

「ええ。絶妙な苦みと舌が痺れる甘さ。
貴方が食べたがっていた "美味美味チョコレート" ですわ」

こ、これが "美味美味チョコレート"!
インターネットお取り寄せランキング1位の、2年先まで予約がいっぱいと噂される、幻の "美味美味チョコレート" なのか!

「2年前から予約して、今年のバレンタインに渡そうと計画していたのよ。
おいしい?」
「うん。うまい」
「お返しは3倍返しね」

素直に礼を言おうとした矢先、妻は図々しいことを言い出した。
愛情に見返りを求めるとは、全く持って由々しき次第だ。

むっと押し黙ると、妻は割烹着のポケットから何やら取り出した。
なんだ?その包みは?
けばけばしいリボンに縁どられた箱のような物……。

「そっ、それは一昨日キャバクラでもらったバレンタインチョコ!」

結局、妻へは30倍返しを約束させられてしまった……。

斯くも、バレンタインとは男女の愛憎を増幅するものである。
怖ろしき行事なり。

  

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